涙をもって種まく者は、
喜びの声をもって刈り取る。
種を携え、涙を流して出て行く者は、
束を携え、喜びの声をあげて帰ってくるであろう。
ー詩篇126-5-6
第九版の最初にこの詩が掲げられている。この詩は、ユダヤ民族がバビロン捕囚から帰国後、神殿再建を試みたとき歌ったものとのことだが、アウシュヴィッツで草稿を没収され、解放後出版され、九版を重ねるに至った本書の運命とフランクル自身のたどった運命をも象徴していると思われる。さらにこの詩は、「苦悩によって人間は成長し成熟する」というフランクルの基本的な考えにも通じている。