第1章を読む(4)

 2023.10.20pp.32~39

先月は「充足」というカテゴリ―が必要であるというところで終わっている。外面的な豊かな生活にもかかわらず内面的には充足が得られていない人は、外的豊かさを断念し自分の本来の使命に忠実であり続けている人の姿に接するとき、「私である人が、私がありえたであろう人に、悲しげに会釈する」思いをすることになる。

10月は32ページ8行目から。「充足」の例があげられている。こうして、「精神療法の学問的領域における空席」が導き出された。従来の精神療法を補完する精神療法、すなわち「精神的なものからの精神療法」が求められているのである。

 

実存的空虚感と精神因性神経症

 患者が価値観・世界観を獲得することを援助するという医師の使命は差し迫ったものになっている。今日、神経症の約20%が、無意味感―実存的空虚感が原因になっているからである。われわれに特に関係している神経症は精神因性神経症である。その特効の療法はロゴセラピーである。診察室は、人生に絶望したり生の意味に疑いをいだくすべての人の避難所になったのである。