11月は《3 心理学主義の克服》から読んだ。
精神療法の治療過程において、きわめて頻繁に、「生きる意味への問い」が表明される。その場合、患者の生きる意味への疑問や世界観的な絶望が心理学的に発生してきたものだと知ったとしてもあまり役に立たない。劣等感やコンプレックスに「還元」しても核心をとらえたことにはならない。古い格言「精神で癒せ、薬ではなく」はなんと賢明なことか。
必要なことは、患者の世界観的な議論を内在的に批判することである。同じ精神的地平に立って、同じ精神的武器によって闘うことである。
患者が人生の意味を疑っているだけでなく、絶望し自殺の危険すらあるような場合でもこうした精神的な闘いが援助になり得る。それは《…問題の学問化とでも呼べるような援助である。すなわち、自分を苦しめているものが現代の実存哲学の中心テーマと重なり合っていることに患者たちが気づくやいなや、彼らの心理的苦境はただちに人間そのものがもつ精神的苦境へと透明化されるのである。…こうした確認によって、患者たちはまさにその問題から感情的に距離をとり、それを理性的に客観化するのでる。》
11月はここ(41ページ中ほど)までを読んだ。精神次元の問題には精神次元から応えなければならないのである。