12月は、p.41からp.45までを読んだ。
精神療法は、患者の世界観にどう対応すべきか。《…もし患者が正しい場合には、精神療法は不必要である。…修正する必要がないから。しかし、患者が正しくない場合には、精神療法は不可能である。なぜなら、正しくない世界観を精神療法によって修正することはできないから。》(p.42)
精神的な創造そのものは、心理学的に還元できないものである。だから世界観の精神病理学、世界観の精神療法というものは存在しない。存在するのは、その世界観を頭で構想している具体的な人間の精神病理学ないし精神療法だけである。精神病理学が何か言えるのは、哲学に関してではなく哲学者に関してだけである。《2×2=4ということは、たとえ統合失調症の患者が主張したとしても、正しい。》(p.43)
結局、心理学主義が問題なのである。《ある行為の精神的内容が妥当性を持つか否かを、その行為の心理的な発生から推論しようと試みる似非科学的な方法の問題である。》(P.44) たとえば、ある芸術家が病的な心理状態において作品を創造したという事実から、その作品の芸術的価値の有無を推論することはできないのである。