第2章を読む(2)

 人生の意味への問いは、思春期に典型的にあらわれるだけでなく、運命的に衝撃的な体験によっても生じる。内容ある生活を求めて苦しんでいる精神的苦闘はすべて、何ら異常なものではない。ロゴセラピーは、臨床的意味では病的とはみなされないような心の悩みにも対応する。「精神的なものからの精神療法」の対象となるのは、まさに人間の問題としての苦しみなのである。p.83)しかしまた実際に臨床的な症状が見出される場合でも、ロゴセラピーによって精神的支えを与えることは大切である。人間の精神的な問題は、単なる「症状」ではなく「業績ライストウング」なのである。≪ある場合には、患者がすでに成し遂げた業績であり、また別の場合には、われわれの援助によって患者がこれから成し遂げねばならない業績なのである。p.83

たとえば、最愛の近親者を失い、これからの自分の人生に意味があるのかという疑問に苛まれ、自分の存在には意味があるのだという信念が揺らぎはじめた人間は痛ましい。人生を無条件に肯定する世界観を与える力を欠き、心の失調が生じているのである。

人生を肯定する世界観、人生観がどれほど重要かは、長寿の原因調査からも知られる。人生肯定の論拠を求める質問で、自殺企図を鑑別診断することができる。

 今月は82頁から85頁(2 超意味 の前) までを読んだ。心理次元では問題のない人も、あるいはそこに「症状」を抱える人も、人生の意味を問う精神次元の苦闘に耐え、「業績(Leistung)」を成し遂げなければならない。ロゴセラピーはその達成を支援する、と理解した。